今日は慶應義塾幼稚舎の願書の書き方です。
慶應義塾幼稚舎はかなり昔には両親面接がありましたが、現在では面接はありません。そのような状況で、大切なことは、
願書に書く二十行近くの志望理由記入欄
と、
「福翁自伝」の感想十数行になります。
この願書が合格のカギを握るとも言っても過言ではありません。
縁故がない「フリー受験」の場合、特に重要になります。
慶應義塾が求める人材像
まず慶應義塾が求める人材像とは何か。それを理解しなければ、願書を書いても的外れになります。
慶應義塾幼稚舎長の杉浦重成先生が仰っている「幼稚舎の教育が目指すもの」にそのヒントは書かれています。(慶應義塾幼稚舎HP http://www.yochisha.keio.ac.jp/principal/index.html)
独立自尊
幼稚舎の教育理念は、校歌の『幼稚舎の歌』に歌われている、子どもたちが「福澤先生の教えを身に行う」ということ、すなわち「独立自尊」を実践できる人材を育成することです。
独立自尊とは、「人に頼らずに自分の力だけで事を行い、自己の人格・尊厳を保つこと。」のことを言います。
つまり、慶應義塾の教育を受ける事で、自立した大人に成長できることを意味します。福澤諭吉はそのような「独立自尊」を持つことが大切と教えています。
まず獣身を成して、のちに人心を養う
福澤諭吉は、「まず獣身を成して、のちに人心を養う」と唱えました。そこで、その教えにしたがって、幼稚舎では昔から身体能力を鍛えることに力を入れ、入学してから卒業するまでにたくさんの体育行事や活動を用意しています。
これは、健康で強靭な身体が全ての基礎にあるという考えです。140年以上前に慶應義塾幼稚舎の創立時から「体育は学科の中で最重点科目」でした。
天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず
互いに競い合いながらそれぞれが違う能力と個性を持つ者として認め合い、助け合い、さらに互いを高め合っていく、そうした関係を作り出していくことで、子どもたちに「独立自尊」と共に「共生他尊」を身につけてもらおうと考えています。
福澤諭吉の学問のすすめに出てくる有名な言葉のひとつ「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」。人間の自由・平等・権利の尊さを説く言葉です。
独立自尊の精神の下、確固たる自己を確立し、強靭な身体に備わる自立した心を持つ人材同士が、切磋琢磨しあうことを「共生他尊」とし、ともに敬う心を持ち、共に生きると説いています。
気品の源泉
福澤諭吉は1897年に刊行した『福翁百話』で「子供の品格を高く可し」と著述しています。自由の中にも規律があり、様々なことに熱意をもって取り組める子どもたちを育み、時には力を集め、寄せ合い、結束する大切さも説いてまいります。
福澤諭吉は学問を修得していく過程で、「智徳」とともに「気品」を重視しています。それは、人格を備えた社会の先導者となることが、義塾における教育の目標の一つであることに繋がります。
そして、その「気品」は子供のころから育むことが大切であるということを言っています。
まとめると、
活発に遊び、時にはいたずらをすることもあるけれど、自分の意志をもって、大人の言われるがままではなく、自分の興味をもつことや遊びを夢中になってやる子。おしゃべり好きで、異性にも分け隔てなく接し、心優しい、みなと仲良く、切磋琢磨しながら行動できる子。
が慶應義塾が求めるお子様像です。
福沢諭吉の教え
上記に記載した、「独立自尊」「まず獣身を成して、のちに人心を養う」「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」「気品の源泉」以外にも以下のキーワードは抑えておく必要があります。
半学半教
師匠と弟子を教える上限関係ではなく、先に学んだ者が後で学ぼうとする者に教えるという精神です。これは慶應義塾に息づく伝統です。
自我作古
前人未踏の新しい分野に挑戦し、たとえ困難や試練が待ち受けていても、それに耐えて開拓をするという、勇気と使命感を表した言葉です。福澤諭吉はイノベーターであると仰る方もいますが、まさにそれを現す言葉です。
社中協力
社中は、学生・卒業生・教職員など、すべての慶應義塾関係者の総称を指します。慶應義塾が人脈を大切にすることを現す言葉です。そして、慶應義塾の教えが140年を超えて受け継がれることがこれからもわかります。
慶應義塾幼稚舎の願書ストーリー
以上を踏まえた上で、願書は以下のストーリーで書きます。
①慶應義塾が求める人材像
②家で子育てをする上での家庭の方針
➂その方針の下で育った我が子のエピソード
④子供はまだまだ6歳。課題も多い。その課題の克服には慶應義塾の教育が必要
➄慶應義塾に入舎したら、その伝統を受け継ぎ、塾生として生きていく決意を示す
以下のnoteでは、すだちの願書を紹介しています。ぜひご覧になってみてください。
すだちが慶應義塾幼稚舎の願書を書く上で参考にした本
福翁自伝
この本を読み感想を書きなさいという願書ですから、必読です。読まずには書けません。
少し読みにくいと感じたら、以下の方が良いです。
福澤諭吉
福澤諭吉が何を成し遂げ、どのような考え方の人か理解するには以下が参考になります。
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漫画も読みやすいです。
これはどちらか一冊で良いです。
学問のすすめ
福澤諭吉の代表作。これは読んでおかなければいけません。
慶應義塾幼稚舎を併願校として考えていて、時間がないのであれば、以下の本はすぐに読めてためになります。
家庭教育のすすめ
学問のすすめは有名ですが、こちらの家庭教育のすすめも重要です。慶應義塾幼稚舎では勉強は家庭がするものという教育方針です。その方針はこの本を読めばわかります。
慶應義塾の歴史を理解する
慶應義塾を卒業されていれば大丈夫ですが、フリー受験の場合、念のため目を通しておいた方が良いです。
参考
アンテナ・プレスクール石井圭さんが書かれた本も役に立ちます。
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まとめ
如何でしたでしょうか。
慶應義塾幼稚舎の願書を書くには、
慶應義塾の求める人材像を理解し、
家庭の方針や子育てのエピソードを交え、
慶應義塾の教育を受けその伝統を受け継ぎ、
塾生として生きていく決意を述べましょう。
塾生としての「決意」が大切です。
ここまでお読み頂きありがとうございます。