今回は、小学校受験に塾なしで合格できるのかを考察したいと思います。
小学校受験において、塾や幼児教室に通わず合格することが出来るかというと、不可能ではありませんが、ほとんどの方は幼児教室や塾に通った方がよいです。
小学校受験に必要な科目とそれに対する対策を見た上で、塾や幼児教室が必要かを考察します。
小学校受験は塾なしで合格できる?
お受験を決めたとき、塾や幼児教室選びをしなければならないです。
その前に、「お受験に塾は必要か?」とお考えになる方も多くいらっしゃると思います。
なぜなら、未就学児のドリルを見ても大人から見れば簡単、家庭学習だけで十分とお考えになる方もいらっしゃるからです。
そして実際に塾なしで合格された方の噂を聞かれて、それを読んで自分もできると思う方もいらっしゃると思います。
しかし、率直に申し上げて、「塾や幼児教室は必須です。」とすだちは思います。
小学校受験に塾はなぜ必要か?
中学受験でも「塾は絶対に必要」と言われますが、小学校受験においては、「中学受験以上に塾が必要」と思います。
中学受験は「子どもの考査だけ」で合格が決まるからです。親は子供を塾の先生にお任せをして、合格するだけの問題やテクニックを子どもに教えるだけでよいからです。
(それでも中学受験の熾烈な競争が大変なことは重々承知しております。)
場合によっては、ご両親が中学受験を経験されており、問題集と模試だけで難関校に合格されたお子様もいらっしゃいます。
一方で、小学校受験は「子どもの試験」と「親の試験(願書、面接)」で構成されています。
そして、小学校受験に必要な科目は何かを知らない方がほとんどです。
まず、小学校受験の「子どもの試験」にはどのような科目があるのかを詳しく見ていきたいと思います。
小学校受験で取り組む試験内容
小学校受験で取り組む試験内容は以下にまとめます。
- ペーパーテスト
- 運動・体操
- 個別テスト
- 行動観察テスト
- 絵画・制作テスト
- 面接
- 願書
ペーパーテスト
皆さんが想像されるお受験の勉強と言えば、ペーパーテストだと思います。中学、高校、大学受験はこのペーパーテストだけで決まるからです。
小学校受験でこのペーパーテストを重視する学校を「ペーパー難関校」と言います。首都圏であれば具体的、雙葉小学校、白百合学園小学校、暁星小学校などがそれに当たります。
内容としては、数、図形、思考、記憶、常識(社会、理科)などがあげられます。
様々な幼児教室がペーパーテストの問題集を出しているので、それぞれどれを使うかにもよります。それぞれの幼児教室でまとめていますので、是非ご覧ください。
ただし、大切なことは、このペーパーテストだけでなく、その他の考査で評価される点が小学校受験の一番の特徴になっています。
こぐま会であれば以下の記事をお読みください。
理英会であれば以下の記事をお読みください。
ジャック幼児教育研究所の問題集は以下です。
運動・体操
学校によってはこの運動・体操のウェイトが高くなっている小学校もあります。
- 走る
- スキップ
- サーキット
- クマ歩き
- ポーズ
- ボール突き
- 縄跳び
- 鉄棒ぶら下がり
- リズム運動
運動神経や運動能力の発達を評価する学校もあれば、指示行動と言って指示されたことをその通りにできるかどうかを見る学校もあります。
いずれにしても人気校を志望するのであれば、お受験用の体操教室や運動教室に通う必要があります。
また、慶應幼稚舎や立教のようにサーキット運動を実施する学校には家庭学習だけでは無理なので、その学校に沿った内容を訓練できる幼児教室に通ってください。
個別テスト
ペーパーテストが無い学校で実施されることが多い、個別テスト。
一人ずつ先生の前に呼ばれ、複雑なパズルを解いたり、絵の通り積み木を積んだり、数の問題を口頭で答えるというようなテスト内容です。
ペーパーテストよりも難しい問題が出されることもありますし、実際に具体物を扱うための手先の器用さなども見られます。
また考査内容だけでは無く、積極性、言葉遣い、姿勢、表情、質疑応答などお子様の面接を兼ねている学校もあります。
以下の記事ではペーパーテスト対策に加えて、個別テストを出題している小学校を紹介しています。
行動観察テスト
小学校受験の特徴の最たる一つのテストと言っても過言ではありません。ほとんどの学校で実施されます。
数人のグループごとに分かれて行われます。共同作業やゲームなどを行い、その様子を観察します。
お子様の積極性、協調性、思いやり、言葉遣い、忍耐力、マナー、リーダーシップ、コミュニケーション能力、ゲームに勝つためのアイディアを出せる知性など、人間としての人格と能力の全てを見られます。
ここまで言うと、大袈裟かもしれませんが、就職活動であれば、グループディスカッションに位置づけられる試験です。
そして、本番の試験では相性の悪い子や泣き出す子のグループに入ってしまったりなど、番狂わせも起こる試験です。
この行動観察テストは親と子どもの家庭学習だけで対策することは困難です。
何よりも「場慣れ」が必要です。幼児教室に通う必要がある一つの理由です。
絵画・制作テスト
出題される学校と出題されない学校があります。
描かれた絵の独創性を評価する学校もあれば、日常生活を書くことで日頃の家庭生活を見る学校もあります。そして巧緻性を見るテストとしている学校もあります。
絵画
絵画制作で言えば、課題画といって、課題を出されて、その課題に対する絵画や制作を行う学校もあります。慶應幼稚舎や桐朋学園小学校がそれにあたります。
また、絵画の色塗りで端までしっかり塗っているかどうかで几帳面さや物事に対する取り組みを評価する学校もあります。ミッションスクール女子校に多いです。
巧緻性
次に、雙葉小学校、白百合学園小学校など、女子校のミッションスクールは必ず出題されるのが「巧緻性」を見る制作テストです。
巧緻性とはその名の通り、手先の器用さを評価することで、蝶結びや折り紙、ちぎり(ハサミを使わず切り取っていく)やお箸などです。
コミュニケーション能力
慶應幼稚舎などで有名なのが「お尋ね」です。
絵画制作の際に先生方が寄って「何を作っているのですか?」と話しかけ、その際のお子様の受け答えを通して人間性や言語力、マナーなどを評価します。
この絵画や制作が幼稚園や保育園に通っているだけでは、絶対に小学校受験レベルの問題はできません。そして、この習得に1年以上かかることが普通です。
そのために、年中からお受験教室に通わせる方が多く、そして、大手幼児教室と併用して絵画制作専門の幼児教室通われる方も多くいらっしゃいます。
生活習慣テスト
生活習慣テストで有名な学校は、早稲田実業学校初等部です。
一言で言えば家庭生活や日常生活を「自分のことは自分でできる」お子様かどうかを評価しています。
- 衣服の着脱
- 片付け
- 掃除
- 配膳
- お出かけの準備
- 寝具の扱い
- 家事手伝い
- お買い物
- 折り畳み傘の扱い方
などです。
普通に躾をしていれば挨拶、礼儀作法は身に付きますが、小学校受験では実際に所作を見られるため、幼児教室に通わなければ身に付けることはできません。
志望校別にその内容は異なるため、情報量が多い幼児教室に通うか、その学校に特化したクラスがある幼児教室に通うことがベストです。
面接
面接のスタイルは、保護者のみ、親子、子どものみの3パターンに分かれます。
そして、考査の前に事前面接として面接日を設定する学校もあれば、子どもの考査中に両親面接を行う学校もあります。また、慶應幼稚舎や桐朋小学校、桐朋学園小学校のように両親の面接は実施しない学校もあります。
面接はお子様はもちろんの事、人事関係のお仕事をされている方でもない限り大人でも就職活動の面接程度しか経験がないと思います。
一方で、小学校受験の面接官の先生方は毎年何百組と面接されています。プロの面接官に対しては対策しなければ、まず好印象は得られません。
年長の春ごろから面接講座をされる幼児教室が多くあります。
願書
小学校受験の特徴の一つです。
願書を提出しなければ受験資格は得られませんが、この願書に志望理由や家庭の教育方針など作文を書き、提出する必要があります。
まさにこれまでの家庭生活の集大成を書きだす作業になります。そして、願書を元に面接が行われるため、願書対策と面接対策を一緒にされる幼児教室も多くあります。
志望校により求める家庭像が異なるため、その学校の特徴を把握して、嘘のない範囲で書く必要があります。
小学校受験には情報量が大切
小学校受験の経験のない方は、まずこの試験内容の多さ、また曖昧さに驚きます。点数を取ればよいというわけでもなく、また明確な合格基準が示されているわけでもありません。
ひとことで言えば、学校から見て、そのご家庭とずっと付き合っていきたい。と言う観点で評価されています。
そのあいまいな基準に対して何が大切かというと、「情報量」です。
志望する学校に対して情報を以下に持っているか、最新の出題パターン、当日の考査の様子や内容、求めるご家庭像など、それに沿った指導を受けないと合格に遠回りすることになります。
各幼児教室がその情報をどのように集めているかと言うと、受験したお子様やご両親からのヒアリングです。
そのヒアリングが集まれば集まるほど情報が集まります。つまり生徒数に比例して情報量と質が変わります。
これが大手幼児教室が継続して合格者数を伸ばし続けることが出来る理由です。
幼児教室は大手幼児教室か個人の幼児教室か?
上記の通り、情報量の観点で大手幼児教室を外すことはできません。
一方で、大手幼児教室は「できるお子様にあった指導」をします。「できないお子様」は置いてけぼりになります。
中学受験のSAPIXなどでれあばクラス別でそれぞれの水準にあったクラスに割り振り、クラス移動で競争心をあおる形で伸ばしていきます。
小学校受験の場合にはクラス別のある幼児教室でも「選抜クラス」がある程度です。選抜クラスが無い幼児教室の方が多いです。
完璧なお子様はいないので、すだちは大手幼児教室か、大手幼児教室と個人の幼児教室の併用をおススメしています。
- 大手幼児教室
総合、学校別、行動観察、体操、絵画・制作の各クラスをとる - 大手幼児教室+個人の幼児教室
総合、学校別、行動観察は大手幼児教室で、体操や絵画・制作は個別の幼児教室に通う
実際の周りの方もこの2パターンに分かれているように思います。
個人の幼児教室では、「そのお子様にあった授業」がされるので、お子様も安心ですし、のんびりしたお子様は競争をあおられることなく、のびのび集中して学習することもできます。
ただし行動観察、体操は集団での場慣れが必要なので、大手幼児教室に通うことは外せません。
まとめ
いかがでしょうか。幼児教室は必須ですが、その選び方で合格不合格が決まると言っても過言ではありません。
経済的にはかなりの出費になりますが、試験が終わった後思うことは、「あの先生のおかげで合格が出来た」とどのご家族も仰ることです。
何事もプロに任せた方がよいと思います。
プレジデントファミリー「日本一わかりやすい小学校受験大百科」は大手幼児教室の情報が網羅されているのでわかりやすいです。
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ここまでお読み頂きありがとうございました。